前立腺がん

 
男性生殖器である「前立腺」に発生するがんです。前立腺は、膀胱のすぐ下に尿道を取り囲むように位置している栗の実のような形をした臓器です。精液の主成分である前立腺液を作っています。前立腺がんは、欧米諸国では以前より多いがんでしたが、最近は日本でも急増してきました。
前立腺がんの危険因子として高齢、遺伝、食生活の欧米化があげられます。60歳代から増え始め、70歳代以上で発症する人が多い高齢者のがんといわれています。また、血縁者の中で前立腺がんにかかった人がいると、本人も前立腺がんにかかるリスクが高まると考えられています。家族性の前立腺がんは、40歳代など若いうちからの発症も見られるため、心当たりがある場合には早めの検診を受けることがすすめられます。さらに近年では食の欧米化が進み、動物性脂肪のとりすぎも前立腺がん発症のリスクを高めるといわれています。
前立腺がんの代表的な症状として、排尿の回数が多い、尿が出にくい、といった排尿障害があげられます。しかしながら、早期の前立腺がんは自覚症状がない場合が多く、症状が出るころには、ある程度がんが進行していると考えられます。
前立腺がんの特徴としては、進行が比較的ゆっくりであること、男性ホルモンの影響を受けやすいこと、骨に転移しやすいことがあげられます。他の臓器のがんに比べ予後も良いため、早期発見し適切な治療を行うことで根治が望めます。
 
 

INDEX

前立腺がんの診断のためには、PSA検査、直腸診、超音波検査、画像診断が用いられます。これらの検査で前立腺がんが疑われた場合、最終的な診断のために前立腺生検を行います。
前立腺がんの治療法を選択する際には、がんの病態(進行の程度「病期分類」、悪性度「グリソンスコア」、PSA検査値)を考え合わせる必要があります。がんの病態によって適した治療法が異なるためです。
前立腺がんには、早期に見つかり症状のないまま経過し最終的に死亡の原因とならない、「おとなしいがん」が存在することが明らかになっています。そのため、あえて治療は行わずに経過を観察していくのが監視療法です。

手術では、前立腺と精のうを切除する全摘除術が行われます。また、病状によっては、前立腺の周りにあるリンパ節も取り除く(リンパ節郭清)こともあります。主に、75歳以下で前立腺内にがんがとどまっている限局性のがんが手術の対象になります。
放射線治療は、目に見えない高エネルギーのⅩ線、粒子線などを用いてがん細胞の遺伝子を破壊し、がんの増殖を抑えたり死滅させたりします。外照射療法と組織内照射療法の2つに大別されます。年齢を問わず治療が受けられ、ほとんどの病期が放射線治療の対象となります。
・ フォーカルセラピー
・ 内分泌療法(ホルモン療法)