心臓突然死とは

心臓突然死とは、健康だと考えられていた人が、突然に致死的心室性不整脈(心室細動など)に見舞われて、この不整脈が原因で心臓が正常に収縮することができなくなり、脳に血液が循環せず死に至る疾患です。日本においては、心臓突然死によって年間約6〜8万人が亡くなっております*1

心臓突然死の原因や症状

心臓突然死には様々な原因が知られていますが、その中に遺伝性の不整脈疾患があります。よく知られているものは、先天性QT延長症候群とブルガダ症候群で、血縁者(親兄弟だけではない)が心臓突然死している場合が多いです。これらの疾患では、心電図に異常が見られますが、心臓の筋肉や血管には異常が見られず、何の自覚症状もありません。しかし残念なことにこれらの疾患を持っている場合には、突然に致死的心室性不整脈を発症して死亡する可能性があります。従って、これらの疾患の診断がついた場合には心臓突然死を予防する必要があります。また、致死的心室性不整脈に襲われて九死に一生を得た場合には次の発作に備えることが重要です。
 

致死的心室性不整脈の治療

致死的心室性不整脈を治療するためには、その不整脈を止めるための除細動器という器械(AEDも含まれる)による電気ショック療法(電気的除細動)が有効であることが証明されています。しかし、発作は病院で起こることは少なく、最近見かけることが多くなったAEDとその使用法のトレーニングを受けた人がたまたま通りかかった場所で都合よく発作が起こるわけでもありません。発作は、いつでもどこでも起こる可能性があるのです。例えば、睡眠中にでも起こるのです。そこで考えられた治療法が、除細動器を体の中に植え込んで、不幸にも致死的心室性不整脈が起こった場合でも自動的に電気ショック療法を行ってくれる『植込み型除細動器』を使用することです。
 

植込み型除細動器の種類

現在、植込み型除細動器には2種類の異なったタイプが開発されています。一つは心臓の中(右心室の中)から電気ショック治療を行うタイプ、もう一つは皮膚の下に入れた除細動システムを用いて、心臓の外から電気ショック治療を行うタイプです。両タイプはそれぞれに特徴があり、詳細については以下のサイトで解説しております。

*1 不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)