手術(外科治療)

手術では、前立腺と精のうを切除する全摘除術が行われます。また、病状によっては、前立腺の周りにあるリンパ節も取り除く(リンパ節郭清)こともあります。
主に、75歳以下で前立腺内にがんがとどまっている限局性のがんが手術の対象になります。前立腺周囲にがんが浸潤している場合でも、リンパ節転移や遠隔転移がなければ手術を行うことがあります。
 
手術(外科治療)
 
手術の方法には開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術があります。
術後の合併症は、尿失禁や性機能障害などがあげられます。尿失禁は、長くても1年くらいで改善されます。性機能障害は、手術中の神経温存の程度や年齢などによって回復具合は異なります。いずれにおいても、完全に戻らない場合があります。
 
 
 

開腹手術

一番長く行われてきた手術で、通常は全身麻酔と硬膜外麻酔の下、下腹部を切開して行われますが、会陰から切開する方法もあります。
 

腹腔鏡下手術

腹部に小さな切開を数ヵ所に加え、そこから腹腔鏡と手術器具を入れて手術を行います。カメラにより、患部がはっきり見えることや、傷口が小さく出血も少ないことから、体への負担が少なく回復も早くなります。
 

ロボット支援下手術

腹腔鏡下手術と同じことをロボットを用いて遠隔操作で実施します。ロボットの手は小さく、狭い骨盤内の操作に適していて、可動域も広く精密な動きにも対応できます。
 
 初の国産手術支援ロボットシステム
  ロボット支援下手術は精密な作業を可能とするため、前立腺全摘出手術時の膀胱尿道吻合がより確実にでき、術後の合併症からの回復が早いといわれています。米国で販売された手術用ロボットは、導入に費用がかかり専門の技術も必要なことから、手術が受けられる施設やロボットを操作して手術ができる医師は限られています。  
     
  2020年8月、ついに国産の手術支援ロボットシステムが日本で承認され、同年9月に保険適用となりました。コンパクトでアーム同士が干渉しにくく、多様な操作姿勢に対応できることから術者の負担を軽減できることが特長です。国産の手術用ロボットの発売によって、導入費用面やメンテナンスが手軽になり、今後ますますの発展が期待できます。