その他の治療

 
 フォーカルセラピー
前立腺の全体を治療するのではなく、可能な限り正常組織を残し、前立腺の中でがんのありそうな部分だけを治療するもので、治療と機能温存を両立させることを目的としています。代表的な治療方法は、HIFU(高密度焦点超音波)です。肛門から超音波を発するプローブを入れ、超音波によって高温にすることでがんを死滅させます。その他、LDRにて前立腺の一部に線源を入れる方法や、凍結療法などがあります。いずれにしても、精度の高い検査が必要で前立腺内のがんがどこにあるのかをしっかり特定することが重要です。
 
 内分泌療法(ホルモン療法)
前立腺がんは、アンドロゲン(男性ホルモン)により進行する性質があります。薬物でアンドロゲンの作用を抑制することが前立腺がんには有効と考えられています。ただし、内分泌療法は根治を目指す治療ではありません。根治を目指す場合は手術や放射線療法と組み合わせることで、より効果が高まります。
男性ホルモンを抑制するため、性機能障害、循環器疾患、筋力低下、骨粗しょう症などの合併症を生じる場合があります。
 
 放射線治療の合併症予防
  現在、前立腺がんの放射線治療による直腸への合併症予防のため、特殊な医療材料(スペーサー)が広く普及してきています。放射線治療を受ける前に、スペーサーを前立腺と直腸の間に留置することで、直腸を放射線の高線量域から離すことができます。直腸が受ける放射線量が少なくなることで合併症を減らし、より安全に放射線治療を受けられることが期待できます。  
     
  スペーサーは、約3か月間スペースを維持して、半年から1年で自然に吸収され体外に排出されるため、体内には残りません。  
     
  また、米国の臨床試験においては晩期の直腸障害が6%生じたのに対し、スペーサー併用により0%という結果でした。3年後の性機能保持率も37.5%に対し、スペーサー併用で66.7%という結果でした。