脊髄刺激療法(SCS) Patient Voice 2

慢性の神経障害性疼痛 (主訴:尺骨神経痛)で薬物療法や神経ブロックが奏功しなかった中、脊髄刺激療法(SCS)を実施した患者さん

監修:八戸平和病院 麻酔科 石川有平先生
 

SCSを行う前の痛みの状態に関して教えて下さい

 仕事で肘を強打してから、腕に強い痛みを感じるようになりました。その痛みは “火傷したような痛み”で、整形外科、総合内科、皮膚科、脳神経外科などいろいろな病院、診療科を受診し、髄液検査やMRIなど様々な検査を行いましたが、原因が分からない時期が続きました。皮膚科の先生から、痛みの治療としてペインクリニックを紹介頂き、薬物療法や神経ブロックを行って頂きました。職場の理解を得て、毎週神経ブロックのために通院していましたが、効果は5時間くらいで夜になると痛みが再発。なかなか奏功しないことや薬が増え続けることに不安になり、実家がある青森県で治療に専念することにし、現病院を紹介頂きました。
 

SCSの説明を聞いてどのように感じましたか?

 青森県に戻ってくる前に、当時のペインクリニックの先生からSCSのことを紹介して頂きました。自分でSCSのことを調べても、自分と同じ年代で機器を入れている人の記事がなく、インターネットで見つかるのは医学論文記事ばかりで、分かりやすい情報はありませんでした。しかし、薬を飲んでいて体がだるい、社会復帰もいつできるか分からないという先が見えない状況でしたので、“痛みを少しでも緩和できるのであればSCSを試してみた方が良いのではないか”という思いの方が強くなっていきました。現主治医の先生に相談し、機器を入れる場所や手術費用など疑問に思っていたことを教えていただき、SCSを決心することが出来ました。
 

SCSを施行した感想

 トライアルを行った2~3日後に “あー、効いているな” と痛みが緩和していることを確認することができました。また、機器の植込みの際は、全身麻酔で行いましたので、特に問題を感じませんでした。SCSは電気刺激によって痛みをマスクします。”薬に頼っていると思わなくて済む“ので、手術後は今までのストレスが消えていくような感じを受けました。実際に、退院した後、軽い運動などで外にでる機会が増えていきました。
 

SCS治療を受けて良かったか?

 痛みの治療薬を複数飲んでいましたが、手術後は薬の種類を減らすことができ、またその量も減らすことが出来ました。主治医の先生は、思っていた以上にハイペースで減らすことができたとおっしゃっていました。仕事上、車の運転が必要になりますので、認知機能に影響する薬の副作用を避けたいと思っていました。薬が減ることによって、社会復帰を前向きに捉えることができようになったと思います。SCSは痛みを完全に取り除くことはできませんが、様々な電気刺激を試すことができますので、状況に合わせて自分に合った刺激を使い分けています。
 翌月から職場に復帰します。同じ電気刺激であるペースメーカと同じように、この治療法の認知度が高まることを期待しています。
 

プロフィール
YUさん(仮名)28歳(取材時) 女性
2018年SCSを実施 取材:2019年4月 
写真はイメージです。当インタビュー記事は、患者様の個人的な感想で、全ての患者様の症状が同じように改善することを保証するものではありません。
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