2022-9-1

前立腺肥大症の新たな治療デバイス「Rezūm™システム」を発売開始
~BPH患者さんや、従来の手術療法が困難な高リスク患者さんに対し日本初の水蒸気を用いた低侵襲の新たな治療選択肢~

ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:森川 智之)は、本日より、前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia: BPH(以下BPH))への新たな治療法である経尿道的水蒸気治療(Water Vapor Energy Therapy;(以下WAVE))を用いた医療機器「Rezūm™ システム(日本語読み:レジューム/以下Rezum1)」の販売を開始します。
1 製品名の表記は、「Rezūm™ システム」または「Rezum」のいずれかを使用いただけます。
本製品は、高周波電流を供給するジェネレータ及び、前立腺組織用の水蒸気デリバリーシステムを搭載した、前立腺肥大症に伴う下部尿路症状の治療デバイスです。本製品による手技時間は10分から15分程度と従来の治療法より短く、従来の術式と比較してほとんど出血がなく、局所麻酔で行える低侵襲な治療であり、性機能維持も可能となります。本製品は本日、2022年9月1日より開催された第29回日本排尿機能学会にて発表されました。
なお、本製品は2022年7月20日に新区分での保険償還の承認を受け、9月1日より保険適用を受けております。
本製品は肥大した前立腺肥大症に関わる前立腺組織を減らし、症状を改善させることを目的としています。水蒸気を利用し狙った部分のみを治療する標的治療で、103度の水蒸気を噴霧し、前立腺組織を約70度まで上昇させ、組織を壊死させることで治療します。レーザー治療など現在のBPH手術療法と同様に薬物療法が奏功しないBPH患者さんで従来の手術療法が困難な高リスク患者さんやご高齢の患者さんに対し新たな治療選択肢として提供が可能となります。
販売名:Rezūm™システム(医療機器承認番号:30300BZX00268000)
前立腺肥大症は、前立腺が肥大することで尿道が圧迫される進行性の疾患です。「尿が出にくい」、「尿の勢いが弱い」など尿を出すことに問題がある排尿症状や、「夜間排尿のために起きる」、「尿がもれる」など尿を溜めることに問題がある蓄尿症状をきたします。また、排尿後症状などの尿を貯めて出すという自然な生理現象が加齢とともに不自然な状態となり、「トイレが近い」、「尿の勢いが弱い」、「残尿感がある」など下部尿路症状をきたし、前立腺は年齢と共に肥大するため、有病率も年齢に比例して上がります。患者数は増加傾向にあり、全国に約215万人いるとされていますが、医療機関を受診し、前立腺肥大症に対する治療を受けている患者数は、約48万人であり、多くの人が受診していない現状があります2。前立腺肥大症を発症すると、頻尿や夜間に何度も排尿に起きることによる睡眠不足など、患者さんのQOLに影響を与える症状を引き起こす可能性があるため、早期の治療が重要です。
日本大学医学部附属板橋病院の院長 髙橋 悟先生は「RezumによるWAVE治療は、これまでの手術療法では治療を受けられなかったBPHの患者さんにとって、体の負担が少なく不要な副作用を抑えることができる治療法です。加えて、尿道粘膜・性機能を温存し異物留置することなく、低侵襲にBPH患者さんを治療できます」と語っています。
また、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社 代表取締役社長森川智之は「BPHの手術療法はより低侵襲なものに日々進化してきましたが、この度、新たにWAVE治療という新しい選択肢をBPH患者さんへお届けできますことを大変嬉しく思います。投薬では症状が改善できていない患者さんをはじめ、基礎疾患等により術後の頻繁な治療のために通院が困難な患者さんや、合併症リスクによって手術をあきらめていた患者さんに新しい治療オプションとなるWAVE治療を通じて患者さんのさらなるQOLの向上に貢献していく所存です。」と述べています。
疾患啓発サイト「前立腺肥大症の治療.jp」では、前立腺肥大症の可能性がある方、現在治療を行っている方、そのご家族向けに、前立腺肥大症の症状や治療法をご紹介しています。
URL: www.bph-chiryo.jp/home.html
 
 

臨床試験の結果について

米国15施設で実施された多施設共同単盲検比較対象試験であるRezumⅡ試験(BPH患者197例に対する本品の有効性及び安全性を評価することを目的に、本製品を用いた治療を行う被験群と、硬性膀胱鏡を用いて本製品による手技を模倣したシャム治療を行う対照群との比較試験として実施)では、有効性主要評価項目である「被験群及び対照群におけるベースラインから手技後3か月の国際前立腺症状スコアの変化量の差の比較」については、被験群で平均11.2点、対照群で平均4.3点の減少が認められました。また、安全性主要評価項目である「手技後3か月の被験群における被験機器関連の重篤な複合合併症の発現率」は0.7%であり、事前に設定した達成基準を満たしていました。5年間の試験で、薬物療法の再開は11.1%、再手術率は4.4%で、3年目から4年目にかけて新たな有害事象は認められませんでした。また、4年後に勃起不全が報告されないなど、性機能の維持が継続的に確認されています。
BPH治療の効果指標(症状、QOL、機能の改善)では、改善を5年間維持
①IPSS: 国際前立腺症状スコア
(International Prostate Symptom Score)
①IPSS: 国際前立腺症状スコア (International Prostate Symptom Score)
②QOL: IPSSのQOL質問
 
②QOL: IPSSのQOL質問
③Qmax: 最大尿流量
③Qmax: 最大尿流量
2 厚労省患者調査より推計。

<ボストン・サイエンティフィックについて>

ボストン・サイエンティフィックは世界中の患者さんの健康を向上させる革新的なメディカルソリューションにより生活を改善しています。40年超、グローバルな医療テクノロジーのリーダーとして、患者さんの満たされていないニーズに対応し、ヘルスケアのコストを削減するパフォーマンスの高い広範なソリューションを提供して、生活のためのテクノロジーを発展させています。日本においては、心血管疾患領域をはじめ、不整脈・心不全疾患領域、末梢血管疾患、消化器疾患、泌尿器疾患、婦人科疾患領域、疼痛管理・パーキンソン病の治療領域で、患者さんの人生を実り多いものにすることに全力で取り組み、日本の医療に意義のあるイノベーションを起こしていきます。
企業サイト:https://www.bostonscientific.jp