肝癌とは?

肝癌には、肝臓から出現した原発性肝癌と他の臓器の癌が肝臓に転移した続発性肝癌(転移性肝癌)があります。原発性肝癌の約90%を肝細胞癌が占め、残り約10%のほとんどを胆管細胞癌が占めています。一般的に肝癌というと原発性肝癌、特に肝細胞癌を指します。

肝癌の患者数 

わが国では年間約3 万人の肝癌死亡者がおり、癌死亡の上位を占めています。これまで死亡者は増加の一途でしたが、2000年以降肝癌の年間死亡数は横ばいから減少傾向になりつつあります。

肝癌の発症メカニズム

肝細胞癌は他臓器の癌と異なり、基礎疾患として慢性肝疾患(慢性肝炎または肝硬変)が存在していることが多く、長期に「肝細胞の破壊・再生を繰り返すこと」が肝癌発癌の大きな原因と推定されています。B型肝炎感染例では、肝炎ウイルスそのものが発癌を起こしうるとも考えられています。

肝癌の原因

わが国では、肝細胞癌患者の約80%がB 型またはC 型肝炎ウイルスを有し、一部の人は大酒家であったり肥満による脂肪肝であったりします。このような「肝硬変を起こしうる原因」は、同時に「肝細胞癌を起こしうる遠因」となっています。肝障害が全くない人に肝癌ができることはまれです。B 型慢性肝炎患者を経過観察すると、年率約0.5%の発癌者がみられ、10年後には5%の患者に肝癌がみられます。C 型慢性肝炎患者では、年率1%強で10年後には13%に発癌がみられ、10 年経過以後は年率1.5%と発癌率曲線がやや急峻になります。一方、肝硬変患者からの発癌率は慢性肝炎のそれよりも明らかに高く、B 型肝硬変からの年率発癌率は約3%で、10 年後には30%の発癌率を示します。一方、C 型肝硬変からの年率発癌率は5 ~ 7%と、B 型肝硬変よりも高く、10 年後には半数以上の症例が肝癌発癌に至っています。

肝臓とその周囲の臓器