2012-05-15

EVOLVE試験の1年時点の臨床結果でSYNERGY™ステントとプラチナクロム製PROMUS Element™ステントの安全性と有効性のデータが同等であることを確認

(このプレスリリースは、2012年5月15日に米国ボストン・サイエンティフィック社が発表したプレスリリースを翻訳したものです。SYNERGYTMエベロリムス溶出型冠動脈ステントシステムは、2012年5月15日時点で、日本において未承認品です。) 

超薄型ストラットおよび血管壁側だけにコーティングされた生体吸収性ポリマーを備えた次世代プラチナクロム製エベロリムス溶出型冠動脈ステントを評価したEVOLVE試験のフォローアップデータをEuroPCRで発表

ボストン・サイエンティフィック社(本社:マサチューセッツ州ネイティック、NY証券取引所略号:BSX)は本日(2012年5月15日)、生体吸収性ポリマーコーティングを採用したプラチナクロム合金製SYNERGYTMエベロリムス溶出型冠動脈ステントシステムが、人を対象とした初の臨床試験であるEVOLVE試験の1年時点の結果において、新規冠動脈病変の治療に関して、プラチナクロム合金製PROMUS ElementTMエベロリムス溶出型冠動脈ステントシステムに対して非劣性であることが実証されたと発表しました。この試験では、生体吸収性ポリマーコーティングが血管壁側だけにコーティングされたSYNERGYステントの安全性と有効性を評価した、1年時点の臨床転帰と6ヵ月時点の血管内超音波(IVUS)検査結果のデータが報告されました。その結果は本日、パリで開催中のEuroPCR年次科学プログラムにおいて、ベルギーのZNAミデルハイム病院、アントワープ心臓血管研究所のシニア・インターベンショナル・カーディオロジストでヨーロッパ心臓病学会正会員(F.E.S.C.)であるステファン・ベルヘイ(Stefan Verheye)医学博士によって発表されました。

EVOLVE試験では以前に、6ヵ月時点におけるレイトロスおよび30日時点における標的病変の不全(TLF)に関してSYNERGYステントがPROMUS Elementに対して非劣性であるという、血管造影検査上および臨床上の主要エンドポイントの報告がなされました。EVOLVE試験の1年時点のデータから、どちらのタイプのSYNERGYステントも(エベロリムスが標準用量のものと1/2用量のもの)、PROMUS Elementステントに対して臨床的に非劣性であることが実証されました。新生内膜面積、ステント面積もしくは内腔面積、容積阻害率、不完全なステントアポジション、または最小血管径を含め、6ヵ月時点で評価されたすべてのIVUSパラメータに関して、有意な群間差はみられませんでした。

「6ヵ月時点のIVUSデータから、SYNERGYステントでは、設計上薬剤とポリマーコーティングが吸収される時点となる4ヵ月後でも、再狭窄抑制効果が維持されていることが示唆されています。重要な点は、EVOLVE試験のデータにおいて、SYNERGYステントがPROMUS Elementステントと同等の臨床的な安全性と有効性を示していることです。SYNERGY群では1年時点でも再血行再建術の施行率が極めて低く、また、心臓関連死やステント血栓症はみられていません」と、ベルヘイ博士は語っています。また、「この画期的な冠動脈ステントプラットフォームの血管壁側だけに設けられた超薄型の生体吸収性ポリマーから効果的に薬剤が溶出することがEVOLVE試験のデータから実証されています」とも述べています。

どちらの群も1年時点のTLFはPROMUS Elementステント群と有意に異なってはいませんでした(標準用量SYNERGYステント群、1/2用量SYNERGYステント群、PROMUS Elementステント群でそれぞれ4.4%、4.2%および5.1%、各タイプのSYNERGYステント群とPROMUS Elementステント群との比較p=1.00優越性)。TLFとは、標的血管に起因する心臓死、心筋梗塞(MI)または虚血性標的病変の再血行再建術(TLR)と定義されます。1年時点の臨床所見において、心臓関連死、Q波MIまたはステント血栓症は全群で1例も認められませんでした。周術期の非Q波MIはこれまでに標準用量SYNERGY群の1例と1/2用量SYNERGY群の3例でみられており、さらに2例の非Q波MIが標準用量SYNERGY群で6ヵ月~12ヵ月時点の間にみられましたが、これらはステントに関連したものではないと考えられました。1年時点に至るまでのいずれの時点でも、非Q波MIの発生率に有意な群間差は認められませんでした(標準用量SYNERGY群3.3%[p=0.11]、1/2用量SYNERGY群3.2%[p=0.12]、PROMUS Element群0.0%、p値はそれぞれPROMUS Element群との比較)。TLRは両用量のSYNERGY群で1.1%であったのに対し、PROMUS Element群では5.1%でした(p=0.21)。また、標的血管の再血行再建術(TVR)の件数はSYNERGYステント群の方が少なかったものの、統計学的有意差はみられませんでした(標準用量SYNERGY群3.3%[p=0.09]、1/2用量SYNERGY群4.2%[p=0.17]、PROMUS Element群9.2%、p値はそれぞれPROMUS Element群との比較)。

「SYNERGYステントは、PROMUS Elementステントと同じプラチナクロム合金と類似のステントデザインを併せ持った次世代のエベロリムス溶出型ステントで、新生内膜の増殖阻害を損なうことなく、血管壁に接触するポリマーおよび薬剤の量を大きく低減させるための新規なコーティングが採用されています」と、ボストン・サイエンティフィック社のグローバル最高医療責任者であるキース・D・ドーキンス博士は語っています。また、「SYNERGYは、抗血小板療法の中断および期間の問題を含め、現在市販されている薬剤溶出型ステントで採用されている非吸収性ポリマーコーティングの限界を克服するように設計されています。EVOLVE試験で得られたこの最先端の冠動脈ステントテクノロジーに関する際立った臨床および血管造影所見は、引き続き好ましいものとなっています」とも述べています。

EVOLVE試験のデータは、早くも年内に期待されているSYNERGYステントのCEマーク取得を裏付けるデータとなることが期待されます。また、この新しいステントテクノロジーについて臨床イベントの発生率および補助的な抗血小板療法を必要とする期間の短縮の可能性を評価するためのさらに大規模な臨床試験のデータが期待されます。

SYNERGYステントは臨床試験用医療機器であり、適用法により研究目的の使用に制限されており、市販はされていません。

SYNERGYステントについて

SYNERGYステントは、生体吸収性PLGAポリマーを採用し薬剤エベロリムスを組み合わせて、血管壁側だけに薬剤を封入した薄い均一なコーティングを実現した製品です。薬剤が送達されると、生体吸収性コーティングは留置後4ヵ月以内に吸収されてPtCr製ベアメタルステントだけが残るように設計されています。このテクノロジーは、再狭窄率を従来の薬剤溶出型ステントと同等なレベルに抑えながら、ステント留置後の血管に、より迅速で完全な治癒が得られるように設計されたもので、術後の補助的な抗血小板療法を必要とする期間の短縮またはその安全な中断が期待できます。SYNERGYステントは、PROMUS Elementステントと同じ独自開発のプラチナクロム合金と類似のステントデザインを取り入れ、これまで以上に薄いストラット、高いコンフォーマビリティ、デリバリー性能および柔軟性を実現しながら、リコイルが少なく、視認性に優れたものとなっています。 

人を対象とした初の臨床試験であるEVOLVE試験について

EVOLVE試験は、プロスペクティブ、無作為化、単盲検試験であり、ステントの外側(血管壁側)だけに超薄型の生体吸収性ポリマーを塗布したSYNERGYステントが、ステントの全表面(コンフォーマル)に非吸収性ポリマーを塗布したPROMUS Elementステントに対して非劣性であるかどうかを評価します。この試験では291例の被験者が、標準用量SYNERGYステント群(エベロリムスの用量がPROMUS Elementと同じ)、1/2用量SYNERGYステント群(エベロリムスの用量がPROMUS Elementの1/2)または市販のPROMUS Elementステント群という3群のいずれかに無作為化されました。これら3つのステントはすべて同様の薬剤溶出プロファイルとなっています。 

将来予測に関する記述についての注意事項

このプレスリリースには、証券法(1933年制定)第27A条および証券取引法(1934年制定)第21E条の意味するところの将来予測に関する記述が含まれています。「予期する」「期待する」「予想する」「信じる」「計画する」「推定する」「意図する」などの語句を用いた表現が将来予測の記述となりますが、これらの記述は現時点で得られた情報による確信、想定、推定に基づくものであり、将来の事象や実施を保証することを意図するものではありません。将来予測の記述には、当社のビジネスプラン、薬事承認、臨床試験と臨床試験プラン、SYNERGYとPROMUS Elementステントシステムの性能および効果などに関する記述なども含まれます。基本的前提が結果的に不正確であった場合、もしくは一定のリスクや不確実な要素が具体化するような場合には、将来予測に関する記述で明示または含意された見込みおよび予測と実際の結果が大幅に異なる可能性があります。これらの要因は、事業戦略の実施能力に対して実際に影響している場合や、将来的に他の要因が加わって実施能力に影響を及ぼす可能性があり、本プレスリリースの記載で予期した結果と実際の結果が大幅に異なる状況をもたらすことがあります。そのため、本プレスリリースの読者は将来予測に関する記述について全面的に依拠することを避けるよう注意してください。

このような相異をもたらす要因には、将来の経済状況、競合、償還および規制の諸条件、新製品の導入、人口統計学的動向、知的所有権、訴訟、金融市況、ボストン・サイエンティフィック社および競合他社の将来的な経営上の意思決定などがあります。これらの要因すべてを正確に予測することはほとんど不可能であり、また、多くは制御できません。当社の将来的な経営に影響する可能性のある要因ならびにその他の重大なリスクに関する概要および詳細な一覧については、証券取引委員会に提出した、最新の10-K年次報告書パートI 1A項目「危険因子」を参照してください。なお、この内容は、提出済みまたは提出予定の10-Q四半期報告書パートII 1A項目「危険因子」で更新されることがあります。ボストン・サイエンティフィック社は、見込みの変更やその根拠となる事象、条件、状況の変化など、将来予測の記述に記載された内容と実際の結果が異なる可能性に影響を及ぼすような変化について、それらを反映するように将来予測に関する記述の内容を公に更新または改訂する意思および義務を一切否認します。本注意事項は本稿に記載された将来予測に関するすべての記述に適用されます。

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