脈が速くなる不整脈、心房細動とは?

いろいろな不整脈のなかでも、心房細動は脈が速くなる頻脈性不整脈です。心臓の上部にある心房が震えるように細かく動くことで脈が速くなります。
また、血液がよどんで血の塊(血栓)が生じやすくなり、脳梗塞のリスクも高まります。
3割くらいの人は症状が現れず、一時的に起こる場合もあります。
近年では、心電図アプリを使って日常的な脈拍のチェックをすることもあります。

心房細動の仕組みと原因

正常な心臓では、洞結節で1分間に60~100回程度の規則正しい電気信号が発生しています。この電気信号が房室結節を介して心臓内に伝わることで、心臓は正常な収縮と拡張(拍動)を保っています。

心房細動は、洞結節以外で異常な電気信号が発生し、心房内の電気信号が乱れることで起こります。心房が小刻みに震え、脈が速くなる頻脈になります。初期の心房細動では、主に肺静脈で異常な電気信号が発生します。
原因としては、心臓の病気(心筋梗塞、狭心症、弁膜症など)、高血圧、睡眠時無呼吸症候群や加齢、肥満、アルコールの摂取、過度な運動などがあげられます。

心房細動による脳梗塞の発症

心房細動が起こると、心房内の血液がよどんで血の塊(血栓)ができやすくなります。
この血栓が血流にのって脳まで運ばれると、血管がつまる脳梗塞を発症することがあります。心房細動によってできる血栓は大きく、太い血管がつまるため、脳が受けるダメージも大きいとされています。

血栓と脳梗塞

心房細動の種類と再発リスク

心房細動は発作時間によって、発作性、持続性、長期持続性の3種類に分けられます。症状が7日以内に治まる発作性と比べ、長期にわたって症状が続く持続性、長期持続性心房細動では、治療後の再発リスクも高まります。

心房細動の治療法

心房細動の治療には、主に薬物治療とカテーテルアブレーション治療があります。薬物治療では、血液をさらさらにして血栓を予防するための薬(抗凝固薬)や脈拍を調整する薬(抗不整脈薬)が使われます。
カテーテルアブレーション治療は、心臓内の組織を焼く焼灼(しょうしゃく)などを行って、心房細動を引き起こす異常な電気信号の広がりを防ぎます。